FAQ: 睾丸摘出手術をSRS前に受けると、術後の性器の見た目、完成度に支障をきたしますか?
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記者:
横須賀 武彦
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2006年10月19日
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睾丸摘出手術をSRS前に受けると、術後の性器の見た目、完成度に支障をきたしますか?
睾丸摘出手術とは何か?
睾丸摘出手術は、睾丸を取り除く手術のことを指します。この手術は性別適合手術(SRS)の前段階として行われることがあります。本記事では、SRS前に睾丸摘出手術を受けることが、術後の性器の見た目や完成度にどのような影響を与えるのかについて解説します。
睾丸摘出手術をSRS前に受ける理由
ホルモン療法の影響
SRS前に睾丸摘出手術を受ける理由の一つは、ホルモン療法による影響です。ホルモン療法は、男性ホルモンの影響を抑え、女性ホルモンの働きを強めることで、身体的な変化を促すものです。睾丸は男性ホルモンの主要な産生場所であるため、睾丸摘出手術によってホルモン療法の効果が向上することが期待されます。
しかし、医学的には適切なホルモン治療が適切な期間行われていれば、睾丸摘出を行わずとも男性ホルモンを低下させることが出来るため、睾丸摘出による効果に懐疑的な医師が大半です。
精神的な影響
また、男性ホルモンの低下によるホルモン治療への効果以外にも、「男性ホルモンの主要な産生場所である睾丸を摘出した」というだけでも、性別違和から来る精神的苦痛が和らぐことがあります。
多くの方は、主に精神的な影響を重視してSRS前に睾丸摘出を受ける場合があるでしょう。
SRS前の睾丸摘出手術の影響
陰嚢皮膚の萎縮と膣の深さ
睾丸摘出手術後、陰嚢皮膚が萎縮することがあります。陰嚢皮膚は、SRSで膣の壁を形成する材料として使用されるため、陰嚢皮膚の萎縮が進むと膣の深さに影響が出る恐れがあります。そのため、睾丸摘出手術を受けてから長い時間が経過すると、SRS後の膣の深さに問題が生じることがあります。具体的には、睾丸摘出前と睾丸摘出後とでは、平均して約2-4cm程度膣の深さが浅くなる場合があります。
術後の性器の見た目と完成度
睾丸摘出手術を受けた後、性器の見た目や完成度に支障が生じることがあるかもしれません。特に、陰嚢皮膚や陰茎皮膚の萎縮が進んでいる場合、SRS後の性器の見た目が理想的でないことがあります。しかし、適切な手術方法やケアを行うことで、見た目や完成度の問題は最小限に抑えられるでしょう。
SRS一回で行うほうがベターな理由
手術回数の削減
SRSを一回で行うことで、手術回数を減らすことができます。手術回数が多くなると、身体への負担やリスクも増えるため、できるだけ手術回数を減らすことが望ましいとされています。また、手術回数を減らすことで、術後の回復期間も短くなることが期待されます。
費用の節約
SRSを一回で行うことで、手術にかかる費用を節約することができます。睾丸摘出手術とSRSを別々に行う場合、それぞれの手術費用が別途必要となりますが、一度の手術でまとめて行うことで、総費用を抑えることが可能です。特に、睾丸摘出が済んでいるからと言って、SRSの費用が割り引きとなることはありません。
短期間での回復期間
SRSを一回で行うことで、回復期間を短縮することができます。手術後の回復には時間がかかることが一般的ですが、手術回数を減らすことで、全体の回復期間を短くすることが期待できます。これにより、より早く日常生活に戻ることができるでしょう。
SRS前の睾丸摘出手術を選択する場合の注意点
陰嚢皮膚のケア
睾丸摘出手術後は、陰嚢皮膚のケアが重要となります。萎縮を防ぐために、適切な保湿ケアやマッサージを行い、皮膚の健康を維持しましょう。また、就寝前に陰嚢の皮膚を引っ張る様な、術前ダイレーションを行うと、将来のSRSの際に膣の深さに余裕が出る可能性があります。
手術のタイミングと資金計画
SRS前の睾丸摘出手術を選択する場合は、手術のタイミングや資金計画を慎重に検討することが重要です。手術後の回復期間や、SRSまでの期間を考慮して、適切なタイミングで手術を受けるようにしましょう。また、手術にかかる費用や、術後のケアに必要な資金を計画的に準備しておくことも大切です。
結論
SRS前に睾丸摘出手術を受けることは、術後の性器の見た目や完成度に影響を与える可能性があります。特に、陰嚢皮膚や陰茎皮膚の萎縮が進むと、膣の深さや性器の見た目に問題が生じることがあります。しかし、適切なケアや手術方法を選ぶことで、これらの問題は最小限に抑えられるでしょう。SRSを一度で行うことが、手術回数や費用の面でベターな選択とされていますが、個々の状況や希望によってSRS前の睾丸摘出手術を選択する場合もあります。その際は、陰嚢皮膚のケアや手術のタイミング、資金計画を慎重に検討し、最適な選択を行いましょう。
FAQ
- Q: 睾丸摘出手術を受けた後、どのくらいの期間でSRSを受けるべきですか?
A: それぞれの個人の状況や医師の指示によって異なりますが、陰嚢皮膚の萎縮を防ぐために、できるだけ早い段階でSRSを受けることが望ましいとされています。しかし、睾丸摘出とSRSは最低でも6ヵ月〜12ヵ月の間隔を空ける必要があるため、睾丸摘出後すぐにSRSを受けられない点に注意が必要です。 - Q: 睾丸摘出手術後、陰嚢皮膚の萎縮を防ぐ方法はありますか?
A: 陰嚢皮膚の保湿ケアやマッサージを行うことで、萎縮を防ぐことができます。また、術前ダイレーションにより陰嚢皮膚に余裕を持たせておくことが大切です。 - Q: SRS一回で行う場合の手術費用は、別々に手術を受ける場合と比べてどのくらい節約できますか?
A: 個々の手術内容や病院によって費用が異なりますが、睾丸摘出が済んでいるからと言ってSRSの費用が割り引きとなることはありませんから、睾丸摘出の費用そのものが節約できる金額と言っても過言ではありません。 - Q: 睾丸摘出手術後、性欲や性機能に影響はありますか?
A: 睾丸摘出手術は精子は生成できなくなり、男性ホルモンは副腎でのみ生成されるようになります。また、急激な男性ホルモンの低下により、筋力が急激に低下し今までの仕事に手が付かなくなったり、前立腺が萎縮して将来の性別適合手術後の感度に影響を及ぼす場合があります。 - Q: SRS前の睾丸摘出手術を選択した場合、SRS後の合併症のリスクは増えますか?
A: SRS前の睾丸摘出手術を受けた場合でも、適切な手術方法やケアを行えば、SRS後の合併症のリスクは大幅に増えることはありません。ただし、陰嚢皮膚や陰茎皮膚の萎縮などが進んでいる場合、SRS後の性器の見た目や機能に影響が出る可能性があります。そのため、手術のタイミングやケアに注意を払い、弊社スタッフと密に相談することが重要です。
バンコク在住、(株)ジェイ・ウェッブ・クリエーション代表。1997年にバンコクへ移住し、現地工場長を経て2004年に会社設立。現在はバンコクで医療系の情報提供と起業支援を中心に活動中。日本国内で年に2回ほど個別相談会も開催しています。1952年生まれで茨城県水戸市出身、在タイ20年超