FAQ: 腸を使わないでSRS(MTF)手術は可能ですか?
記者:
横須賀 武彦
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2007年5月26日
2,144

除睾や長期ホルモン投与を経たあなたにとって、「腸を使わずに膣を造れるのか」という疑問は切実です。本記事では 腸を使わないSRSの可否と現実的な選択肢 を整理し、手術法ごとのポイントと注意点を端的に解説します。
腸を使わずにSRSはできますか?
結論:はい、条件次第で可能です。
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陰嚢皮膚移植法なら深さを妥協すれば腸を使わずに造膣できる
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鼠径部皮膚移植を併用すれば、さらに1–2 cm程度の深さ追加が見込める
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PPV(腹腔鏡陰茎腹膜造膣)は腸疾患を抱える方にお勧めの最終オプション
例)32歳・除睾後5年経過のAさんは、陰嚢皮膚のみで8 cmの膣深を確保。性交より身体への負担を重視し、腸を使わない術式を選択しました。
腸を使わないSRSを実現する3つのステップ
STEP 1:陰嚢皮膚移植法を検討する
皮膚の伸展性を活かし、睾丸摘出後でも平均10cm前後の膣形成が可能。
STEP 2:鼠径部皮膚で深さをプラス
不足分を足の付け根の皮膚で補い、1–2 cm深度を上乗せ。
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Tips(傷跡は10–15 cmと大きいので要検討)
STEP 3:PPV(腹腔鏡陰茎腹膜造膣法)を最終候補に
腸を温存しつつ、腹膜を利用して比較的深い膣を確保できる。
Note: いずれの方法でも “理想の深さ” より “術後の生活優先順位” が鍵。見逃しがちなダイレーションに割ける生活スタイルの余裕の可否も要チェック。
腸を使わないSRSに関するよくある誤解と正しい情報
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誤解①「腸を使わないと十分な深さにならない」
実際は 10 cm前後なら陰嚢皮膚のみで到達可能。 -
誤解②「除睾後は皮膚が足りず手術できない」
実際は萎縮していても残存皮膚を利用できるケースが多い。 -
誤解③「PPV(陰茎腹膜造膣法)は誰でも受けられる」
実際は腹膜癒着やBMIなど条件が厳しく、適応判断が必須。
Note: 深さだけでなく傷跡・回復期間・合併症リスクを総合判断。
まとめ
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腸を使わないSRSは陰嚢皮膚移植法・鼠径部皮膚併用・PPV(陰茎腹膜造膣法)の3ルートがある
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深さと傷跡のトレードオフを踏まえ、術後生活を基準に選択する
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事前の膣深予測での深さシミュレーションが成功の鍵
タイSRSガイドセンターは、タイで実際に性別適合手術を経験した MtF 当事者が現地で直接サポートする唯一のアテンド会社です。
当事者視点だからこそ分かる課題への寄り添い―腸を使わない術式選択への不安を、術式選択と医師紹介の全面サポートで丁寧に解消します。
どんな小さなご質問やご相談でもお気軽にお問い合わせください。

バンコク在住、(株)ジェイ・ウェッブ・クリエーション代表。1997年にバンコクへ移住し、現地工場長を経て2004年に会社設立。現在はバンコクで医療系の情報提供と起業支援を中心に活動中。日本国内で年に2回ほど個別相談会も開催しています。1952年生まれで茨城県水戸市出身、在タイ20年超