【2026年更新】MtF SRS S字結腸法で腸閉塞になる確率は?

記者:

JWC 加地

–

2018年1月10日

 

4,307

トランスカエルくん
海外の症例シリーズではS字結腸法の腸閉塞発生率はおおむね5〜6%で、一般的な結腸直腸手術は約3〜13%とされています。解釈は記事の通りだケロ。 術後は腹腔鏡の方が癒着少なくリスク低め、早期離床や食事制限遵守が大切。便秘薬常用や一部鎮痛薬の頻用はリスク要因です。 渡航前に持病やお薬を弊社へお知らせください。お問い合わせはご遠慮なく!

「トランスカエルくん」のメッセージはAI(人工知能)が自動生成しています。不適切または不正確な内容が含まれる場合があります。

お客様
お客様

S字結腸法は腸閉塞の可能性が高まるとのことですが、このリスクに関する統計・事例等はありますか。

【まず結論】一般的な結腸直腸手術の腸閉塞発生率は約3〜13%ですが、S字結腸法によるSRSに特化した海外の研究ではおおむね5〜6%程度と報告されています

S字結腸法(S状結腸を用いた造膣術)による腸閉塞(腸が詰まってしまう状態)のリスクについて、一般的な結腸直腸手術後の腸閉塞発生率は約3〜13%です(出典は本文末尾)。ただしこの数値は、潰瘍性大腸炎や直腸癌など元々腸に問題があった方が腸の一部を摘出した場合の統計であり、健康な腸を使うS字結腸法によるSRSとは前提が異なります。

2018年に本コーナーで回答した時点では、S字結腸法によるSRSに特化した統計・文献はまだありませんでした。現在は海外の査読付き学術誌に掲載された症例シリーズにより、S字結腸法によるSRSでの腸閉塞発生率がおおむね5〜6%程度であるというデータが得られています。一般的な結腸直腸手術の発生率(3〜13%)の下〜中位に収まる水準です。

なぜ「一般的な結腸直腸手術」とは前提が異なるのか

「一般的な結腸直腸手術」とは、SRS以外の潰瘍性大腸炎や直腸癌など、元々腸に問題があった方が腸の一部を摘出する手術を指します。こうした手術を受ける方は、手術前から食生活や生活習慣が乱れていることが少なくなく、この乱れが術後も改善されないと、腸閉塞を発症する確率が高くなる傾向があります。

これに対し、S字結腸法によるSRSは、原則として腸が健康な方に対してのみ行われます(腸に問題がある方や、肥満など生活習慣に問題がある方は、S字結腸法での手術ができない場合があります)。また、S字結腸の周りの血管は切除せずに温存したまま膣となる場所へ移動させるため、腸自体への負担は「一般的な結腸直腸手術」とは大きく異なります。

海外の研究でS字結腸法特有のデータが報告されるようになりました

2025年に発表された、性別適合手術としてのS字結腸法(sigmoid colon vaginoplasty)を対象とした後方視的研究(119例・米国の医療機関)では、短期合併症のうち腸閉塞は5.0%の患者に発生したと報告されています。同様の海外の症例シリーズでも、腸閉塞の発生率はおおむね5〜6%程度とする報告が中心です。

これらは海外・単一施設の症例シリーズであり、対象となる患者層や周術期の管理方法は、当社がご案内しているガモン病院とは異なります。数値はあくまで参考値であり、個々の患者さんの腸閉塞リスクを保証するものではありません。

術後の早期離床でリスクを下げられます

腹腔鏡手術を担当する医師(消化器外科)によると、術後7日以内の間に十分に歩くなどしてお腹を揺らし、可能な限り腸の手術部位と腹膜などとの癒着を防ぐことで、術後の腸閉塞の確率を下げることができるとのことです。当社がご案内しているガモン病院では、現在も術後3日目から病棟の廊下を歩くよう促しています。

ただし、早期離床によってリスクを下げられても、発生率がゼロになるわけではありません。当社がこれまでアテンドしてきたお客様の中では、2026年に入り初めて、術後に腸閉塞となった事例を1件確認しました。ガモン病院全体での件数については、正式な統計が取られておらず、術後の経過をすべてのお客様から必ずご報告いただけるわけでもないため、当社でも正確には把握できていません。ただし、当社が把握している範囲だけでも、これまでに確認していた件数から少なくとも1件は増えていることを確認しています。

お客様
お客様

一般的な結腸直腸手術後の腸閉塞の確率が約3〜13%であり、ガモン病院で1例報告があるとのことですが、一方でガモン病院でS状結腸膣形成術を受けた患者は1997年〜2013年の間で390名とのことで、これらのデータに違和感を感じます。これは、S字結腸法SRSの腸閉塞の起きやすさが一般的な結腸直腸手術より低いのか、どう解釈すればよいのでしょうか。また、腸閉塞の起きやすさは腹腔鏡手術と開腹法とで変わりますか。

症例数と発生率の見方について

「1997年〜2013年で390名」というのは、このご質問をいただいた当時にお伝えできた症例数です。ガモン病院では国籍・術式別の患者データを正式な統計として公開していないため、現時点での累計症例数は当社でも正確には把握できていません。腹腔鏡によるS字結腸法だけでも2013年の開始以降、症例数は着実に増えています。

前述のとおり、S字結腸法によるSRSは腸が健康な方のみが対象であり、血管を温存したまま腸を移動させる術式です。この点が、一般的な結腸直腸手術より腸閉塞の発生率が低く収まっている一因と考えられ、海外の症例シリーズが報告する5〜6%程度という数値も、この傾向とおおむね整合しています。ただしこれは複数の要因が重なった結果としての傾向であり、特定の1つの要因だけで説明できるものではありません。

腹腔鏡と開腹法での違い

傷が小さく、周辺組織との癒着を最小限に抑えられる腹腔鏡による手術を受けた場合の方が、開腹法による手術を受けた場合よりも、腸閉塞の発症確率は低くなる傾向があります(出典は本文末尾)。当社では現在、腹腔鏡によるS字結腸法をご案内の中心としています。

腸閉塞のリスクを上げる要因

  • 現在便秘薬を常用している・お腹を壊しやすい体質であるなど、腸に問題がある場合
  • ロキソニンなど、副作用として腸閉塞が報告されている薬を頻繁に服用している場合(詳しくはお勧めの痛み止めはありますか?もご覧ください)
  • 術後の滞在中に禁止されている食べ物(生野菜など)を食べた場合
  • 術前・術後の食生活や生活習慣が乱れている(過食など)場合

帰国後の食生活にも注意が必要です

腸閉塞を発症しやすい期間は、術後3ヶ月程度続くとされています。当社では、退院・帰国後の食生活の参考として、大腸の手術を受けた方向けの一般的な食事指導資料もあわせてご案内しています(SRS専用に作成されたものではなく、大腸がん術後の食事指導を目的とした一般向け資料です)。ごぼう・れんこん・きのこ類など食物繊維の多い食品や消化の悪い食品を控えめにし、軟らかく調理した野菜やたんぱく質を中心に、よく噛んでゆっくり食べることなどがポイントとして挙げられています。

タイでのSRSを検討中の方へ

S字結腸法によるSRSでの腸閉塞は、健康な腸を対象とする術式であることから、一般的な結腸直腸手術に比べて発生率が抑えられる傾向にあり、海外の症例シリーズでもおおむね5〜6%程度という数値が報告されています。ただし発生率がゼロになるわけではなく、便秘薬の常用や特定の鎮痛薬の頻用、術後の食事制限を守らないことなどが、リスクを押し上げる要因になります。渡航前に持病やお薬の状況を弊社スタッフへお伝えいただき、術後は早期離床など執刀医の指示に沿って過ごしていただくことが、リスクを抑えるうえで重要です。あわせてS字結腸法の方が後のケアを考えると良い?――陰嚢皮膚移植法との違いを解説もご覧ください。

ご相談の窓口――内容に応じて専門家におつなぎします

  • 体質・持病を踏まえた腸閉塞リスクの評価、術後の症状の判断(医療判断) … 執刀医・医療スタッフへおつなぎ・ご確認いただきます。
  • 渡航前のお薬・持病の申告、滞在中の食事案内、スケジュールに関するご相談(私たちの実務範囲) … 弊社スタッフ・LINE相談窓口へ。ご渡航前でもお気軽にどうぞ。

出典

  • 結腸直腸手術後のイレウス発症頻度について:ナースのヒント「術後イレウスの看護」
  • Outcomes of gender-affirming sigmoid colon vaginoplasty: A retrospective study of 119 patients. Journal of Plastic, Reconstructive & Aesthetic Surgery (2025). PubMed: 40460505
  • 大腸がん術後の食事(川崎医科大学附属病院栄養部, Pharma Medica Vol.34 No.3 2016)※SRSに特化した資料ではなく、大腸手術一般の食事指導資料です。PDF

相談・ヘルプ

この内容について相談する

     にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 性同一性障害(MtF)へ   にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 性同一性障害(FtM)へ   にほんブログ村 メンタルヘルスブログ 性同一性障害カウンセラー・アテンダントへ