肛門周辺腫瘍または会陰部毛のう炎と診断されたことがある方へ
記者:
JWC 加地
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2025年11月13日
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これからタイで性別適合手術(SRS)を受ける予定のMtF(男性から女性へのトランスジェンダー)の皆さんへ。過去に「肛門周辺腫瘍」や「会陰部毛嚢炎」(えいんぶもうのうえん:会陰部の毛穴の炎症)と診断されたことがある方は、特にご注意ください。
渡航直前の診断と再検査
ある方のケースですが、渡航直前の健康チェックで肛門周辺に腫れが見つかり、「肛門周辺腫瘍」と診断されました。驚いて同じ医療機関まで詳細な情報提供を求めたところ、「会陰部毛嚢炎」(毛穴の炎症の一種)と再診断され、大きな問題ではないと判断されました。この時点で患者さんは予定通りタイへの渡航を決めています。
SRS手術直前に判明した膿瘍と瘻孔
ところがタイに渡航後、手術開始直後に問題の箇所に予想外の事態が発覚しました。外見は小さなニキビのような皮膚の異常でしたが、その内部に膿瘍(のうよう:うみのたまり)が約10×10cm近くも広がっていたのです。さらに膿瘍から瘻孔(ろうこう:皮膚の下にトンネル状に続く炎症)まで形成されていました。その結果、安全のため全身麻酔を中断し、予定されていたSRS手術は延期せざるを得なくなりました。治療のため現地での滞在期間も延びることになり、患者さんにとって大きな心身の負担となってしまいました。
このように、渡航後に予期せぬトラブルが見つかると、タイでの滞在延長や追加治療が必要になりかねません。大切な手術を控えた身で、このような事態になるのは避けたいものです。
予期せぬ手術延期を防ぐには
こうした事態を防ぐため、渡航前に日本国内でMRI検査(通常は保険適用です)を受け、皮下に隠れた膿瘍や瘻孔がないか確認することを強くおすすめします。MRIであれば、目に見えない深部の炎症も写し出せるため、潜在的な問題を事前に発見できます。
もし検査の結果、膿瘍や瘻孔などの異常が見つかった場合は、焦らずにまず治療を優先してください。炎症が完全に治癒してから、あらためてSRSの日程を組むことが大切です。手術を延期するのは勇気のいる決断ですが、万全の状態で手術に臨むためには必要な措置と言えるでしょう。SRSは人生における大切な手術ですから、リスク要因は事前に取り除いておくに越したことはありません。
チェックポイント:
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渡航前にMRI検査を受け、皮下に膿瘍(うみのたまり)や瘻孔(トンネル状の炎症)が隠れていないか確認する。
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膿瘍や瘻孔が見つかった場合は、完治を待ってからSRS手術を受ける(無理に予定を強行しない)。
不安な方はお気軽にご相談ください
タイSRSガイドセンターでは、渡航前の健康チェックや手術準備に関するご相談を随時受け付けています。今回ご紹介したケースのような不安がある方は、ぜひ事前にご相談ください。経験豊富なスタッフが、安心して手術に臨めるよう丁寧にサポートいたします。






