睾丸摘出、SRS前にするか?SRSと同時にするか?
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記者:
JWC 加地
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2020年8月23日
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- 医学的には長期間ホルモン治療を続けた後の睾丸摘出によるホルモンバランスの変化は限定的とされている。
- 先に睾丸摘出をする事で、陰嚢皮膚移植法での膣の深さが浅くなってしまう可能性が高い。
- 先に睾丸摘出をする事で、余計な出費がかさむ事がある。
誤解しないで欲しいのは、SRSよりも前に「睾丸摘出」を済ませることは、SRSの選択肢を狭める事になると言う事です。
医学的には、長期間ホルモン治療を続けていれば体内の男性ホルモン値が睾丸摘出した場合と同等の値まで低下していることが多く、この場合、睾丸摘出を受けても男性ホルモン値の変化はさほど期待できません。
医師の監督下で適切なホルモン治療を受けることで、男性ホルモン値を効果的に下げることが出来ます(参考記事)。
ただし、造膣しないSRSを希望されていて、一定年齢を過ぎてからホルモン治療を始めた方は、先に睾丸摘出を受ける事によるメリット(例えば、SRS後の急激なホルモンレベルの変化を少なくできる等)の方が高くなる可能性があります。
SRSよりも前に「睾丸摘出」を済ませることで、将来受けるSRSには以下の様なリスクを伴います。
- SRS後の膣の深さが浅くなってしまう。
⇒ 陰嚢皮膚移植法の場合、睾丸摘出前なら平均13cm前後のところ、睾丸摘出済の場合は平均10cm前後と浅くなってしまう傾向にあります。
※ 睾丸摘出と同時に陰嚢皮膚の切除も受けている場合、陰嚢皮膚移植法では上記よりもさらに浅い膣になってしまいます。 - 必然的に、S字結腸法でのSRSを選ばざるを得なくなってしまう。
⇒ もし、陰嚢皮膚移植法では自分の希望する膣の深さが実現できないとなれば、S字結腸法での手術を選ばざるを得なくなってしまいます。
S字結腸法は、陰嚢皮膚移植法の上位版ではありません。S字結腸法、陰嚢皮膚移植法はそれぞれメリットとデメリットが異なり、自分が求める物により、どちらの術式が適しているかが異なります。「あの人がこの術式にしたから」「友達と同じ術式にしたい」という単純な理由で術式を決めたとしたら、SRS後に後悔するかもしれませんよ。
- お金が余計にかかる。
⇒ 「睾丸摘出」を済ませているからといって、SRSの手術費用が割り引きになることはありません。
また、陰嚢皮膚移植法より手術費用の高価なS字結腸法を選ばざるを得なくなってしまったなら、さらに費用がかさむことになります。
また、「包茎手術」についてもSRS時のリスクがあります。
具体的には、「包茎手術」を受けていることでSRS時に小陰唇形成の為の皮膚が不足(陰茎の皮膚は小陰唇になります)し、小陰唇の長さが十分確保出来なかったり、S字結腸法の場合はS字結腸で出来た膣壁が目で見える位置まで外に出ている様な外観(極端に言えば脱肛のような)になってしまう事があります。
なお、「睾丸摘出」も「包茎手術」も、SRSより前に受ける場合は術後6ヵ月以上経過していなければSRSは受けられません(ガモン病院の場合)ので、ご注意ください。
「睾丸摘出」や「包茎手術」は、SRSと同様に自分自身の希望と判断で受けるものですが、ここで説明したようなリスクがあることを理解し、将来SRSを受ける際の希望を予めイメージした上で受ける事をお勧め致します。