【FAQ】睾丸摘出手術だけ依頼するのは可能?費用やデメリット、注意点を徹底解説
記者:
横須賀 武彦
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2006年5月10日
1,910
はじめに
MTF(Male to Female)を目指すトランスジェンダー女性の方の中には、SRS(性別適合手術)よりも先に「睾丸摘出手術」だけを先行して受けたいと考える方もいます。理由としては男性ホルモンの分泌量を抑制したい、ホルモン治療の効果を高めたい、などが挙げられます。この記事では、実際に睾丸摘出手術が単独で受けられるのか、また費用面や注意点についてまとめました。
睾丸摘出手術とは?
- 目的
通常は悪性腫瘍や外傷などが原因で行うことが多い手術ですが、MtFの方の場合は「男性ホルモン(テストステロン)の低下」が最大の目的となることが一般的です。 - 医師の見解
ホルモン治療を十分に行えば睾丸摘出をしなくても男性ホルモンを抑制できるため、睾丸摘出に対して懐疑的な医師が多いのも事実です。
費用について
1. タイ(ガモン病院)の場合
- 手術費用:約100,000バーツ
1バーツ=約4円換算で約40万円前後が目安。 - 総費用の目安:70万円以上
アテンド料金、滞在費、航空券などを合わせると70万円を超えるケースが多いです。
2. 日本国内の場合
- 一般的な費用:20~30万円台
クリニックや病院によって異なりますが、総合的に見てもタイより費用を抑えて実施できるケースが多いです。
デメリット・リスク
1. 陰嚢皮膚の萎縮
- SRSの選択肢が狭まる可能性
睾丸摘出後、長期間経過すると陰嚢の皮膚が萎縮し、後にSRSを受ける際に希望する術式(例:陰嚢皮膚移植法)が選べなくなるリスクがあります。
2. 術式の制限
- 将来的な性別適合手術への影響
将来SRSを検討している場合、先に睾丸摘出を行うことで一部術式が使いづらくなることがあります。後悔しないためにも、将来のプランを考慮して決断が必要です。
3. 男性ホルモン急低下による身体への影響
- 急激な筋力低下・前立腺萎縮など
男性ホルモンが急激に減ることで、体力や筋力が大幅に低下する方もいます。前立腺の萎縮が進むと、将来的にSRS後の性感にも影響が出る場合があるため要注意です。
睾丸摘出手術を検討する際のポイント
- 手術の目的を明確化
「ホルモンを安定的に抑制したい」「将来のSRS前段階として」など、自分なりの明確な目的を持ちましょう。 - 費用と渡航コストの比較
タイでの手術と日本国内での手術、それぞれの総費用を比較検討することが大切です。 - 医師や病院選び
睾丸摘出に前向きな医師や、トランスジェンダー医療に理解のある病院を選ぶことでリスクを最小限に抑えられます。 - 将来の性別適合手術との兼ね合い
長期間のインターバルを空けると皮膚萎縮などの問題が起きる可能性もあります。後のSRS手術計画も踏まえた総合的な判断を。 - デメリットの理解
男性ホルモンの急低下による体調変化や、今後の選択肢の狭まりなど、リスクを把握した上で最終決定を行いましょう。
まとめ
- 単独での睾丸摘出手術は可能
ただし、医師の見解や費用面をよく吟味し、自分の目的に本当に合っているかどうかを冷静に判断しましょう。 - 費用はタイよりも日本で行う方が安く済む傾向
トータルコストを考慮すると、日本での実施を選ぶ方も多くいます。 - 将来のSRSへの影響も考慮
陰嚢皮膚の萎縮や男性ホルモンの急減による影響は軽視できません。長期的な視点で見極めることが大切です。
よくある質問(FAQ)
Q1:睾丸摘出手術はどのくらいの時間がかかりますか?
A1:一般的には1~2時間程度で終了し、入院は1泊程度とされることが多いです。
Q2:手術後の痛みはどの程度ですか?
A2:個人差はありますが、適切な痛み止めが処方されるため、日常生活に支障が出るほどの痛みが続くケースは少ないとされています。
Q3:保険は適用されますか?
A3:悪性腫瘍やケガなど医学的理由が認められる場合には保険適用となることがあります。しかし、男性ホルモン低下を目的とする場合は、通常は保険適用外です。
Q4:手術後、性機能にはどのような影響がありますか?
A4:精子を生成できなくなり、男性ホルモンは副腎だけからの分泌になります。急激なホルモン変化で筋力低下や前立腺萎縮が起こり、将来的にSRS後の性感へ影響を及ぼす可能性があります。
Q5:長期的に見ると、やはりSRSまで待ったほうがいいのでしょうか?
A5:今後SRSを受ける予定がある場合、先に睾丸摘出を行うことで陰嚢皮膚が萎縮するリスクを考慮すべきです。医師とよく相談し、総合的に判断することをおすすめします。
将来的な性別適合手術を見越している場合は、単独の睾丸摘出にどの程度のメリットやデメリットがあるのかを事前によく考える必要があります。まずは弊社までご相談頂き、費用・リスク・将来の計画を十分に検討した上で決断しましょう。
バンコク在住、(株)ジェイ・ウェッブ・クリエーション代表。1997年にバンコクへ移住し、現地工場長を経て2004年に会社設立。現在はバンコクで医療系の情報提供と起業支援を中心に活動中。日本国内で年に2回ほど個別相談会も開催しています。1952年生まれで茨城県水戸市出身、在タイ20年超