手術費用が戻ってくる?「入院給付金」と「医療費控除」のヒミツ
記者:
JWC 加地
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2022年8月3日
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- 海外での手術でも民間の医療保険の「入院給付金」が保険請求出来る場合がある。
- 勤務先の「傷病手当金」が申請できる場合がある。
- 確定申告をしている方は、確定申告の際に手術費用を「医療費控除」に含めることが出来る。
残念ながら、日本国内の「国民健康保険」が対象とする性別適合手術(SRS)に対する保険適用は、海外での性別適合手術(SRS)では申請することが出来ません(参考)。
とはいえ、「入院給付金」や「傷病手当金」、「医療費控除」など、海外での性別適合手術(SRS)でも申請対象となるものも少なくありません。この記事を参考に、貰い損ねのないように確認を頂けますと幸いです。
民間医療保険の「入院給付金」
アフラックや全国生活協同組合(コープ)などの民間の医療保険に加入している方は、少なくとも「入院給付金」の請求が出来るケースが珍しくありません。
また、保険の契約内容によっては、手術費用の一部や通院の期間に対しても保険金請求ができるケースもあり、手術内容によっては手術費用の半分近くが戻ってきたケースもありました。
「入院給付金」は、入院の発生する手術であれば請求対象となる可能性があるため、加入している医療保険の契約を見直してみてはいかがでしょうか。
なお、「入院給付金」を申請する場合は、渡航前に契約保険会社まで電話にて以下の確認を行い、専用の書面を持って渡航して頂く必要があります。
- 海外で治療を受けた場合に利用する専用の「英文の保険金請求書」の郵送(またはダウンロード方法)を保険会社へ請求する。
- (または)海外で治療を受けた場合の保険金請求に利用する専用の「英文の診断書」の郵送(またはダウンロード方法)を保険会社へ請求する。
- その他、治療先医療機関で記入・用意の必要な書面があるかどうか確認する。
※渡航時に書面が間に合わなかったり、帰国後に保険請求を行う場合は、書面の往復送料と別途手数料にて承ることも可能です(術後1年以内に限る)。
勤務先の「傷病手当金」
手術の為の渡航により、手術を理由に職場へ休職申請などを行っている場合、手術の為の渡航期間(入院+通院期間)を対象に「傷病手当金」の申請が行える場合があります。
「傷病手当金」では、「標準報酬月額(給与額ではなく、社会保険算定のベースとなるもの)」に応じて仕事を休んだ日数分(実際には手術の為の渡航期間マイナス3日程度)の手当金を貰うことが出来ます。例えば、標準報酬月額が22等級(30万円)で手術の為の渡航期間が19日間であれば、6,667円x(19-3)=106,672円が手当金となります。
「傷病手当金」を貰えるかどうか、実際に幾らの手当金が貰えるかは、勤務先の担当者へご相談下さい。
通常、「傷病手当金」の申請を行う場合、勤務先より専用の「傷病手当金支給申請書」を貰う必要があります(フォーマットは勤務先により様々)。また、必要に応じて「英文の診断書」などの提出を求められる場合もありますので、申請には何が必要なのか、勤務先の担当者まで十分な確認をお願いいたします。
参考:https://hoken.niaeru.com/media/social-security-tax/shobyoteatekin-amount/
確定申告の際に「医療費控除」に含める
「医療費控除」とは、10万円(総所得金額等が200万円未満の方は、総所得等の5%)を超える手術費用が対象となり、所得税などが軽減される制度です。
毎年の確定申告をされている方は、主に以下の費用を医療費控除に含めることが出来る場合があります(税務署により判断が分かれます)。
可能な限りインターネット経由での確定申告提出を行うと安心です。
- 手術費用(性別適合手術に限る/為替レートは国際送金時、または両替時のレートで計算)
⇒ 治療先医療機関より発行される領収書を添付。 - 往復航空機代
⇒ 弊社にて航空券手配の場合は、弊社よりお送りする「Eチケット控え」を添付。 - 空港までの移動費用(タクシー、国内線飛行機代など)
⇒ 別途ご自身で領収書を請求する必要あり。 - アテンド料金(税務署の判断により含めることが出来ないケース有)
⇒ 弊社発行の精算書を添付。 - 退院後の滞在費用(税務署の判断により含めることが出来ないケース有)
⇒ 弊社発行の精算書を添付。
参考:https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1120.htm
所得の状況によっては、「医療費控除」とすることで所得税がゼロとなるケースもあります。
確定申告の詳細や、便利な「医療費集計フォーム」の利用は国税庁のWebサイトを参考にして頂ければと思います。
まとめ
この記事でご紹介したように、性別適合手術による出費を僅かでも軽減できる方法が複数ありますので、心当たりのある方は面倒でも時間をかけて確認してみることをお勧め致します。
弊社アテンドサービスを利用された方は、アテンドサービスの一部として、ブログではお伝えできない過去のお客様の例を元にした情報のご案内や、確認のコツなどのアドバイスをご提供可能ですので、是非手術をご検討頂けますと幸いです。
こんにちは。SRS(性転換/性別適合手術)、顔の女性化そして声の女性化の経験者であり、岡山県出身の加地 茜(あかね)です。趣味は映画鑑賞、好きな動物はカエルです。 相談できるところが少ないSRSや顔の女性化、声の女性化に関してのご相談、そして様々な情報が溢れている現状で何を信じて良いのかわからないなどの困り事があればお気軽に相談して下さい。 自身の手術経験やアテンド経験から、痒いところに手が届く様なサポートが出来るよう、日々努力しています!