制度の転換点と世界への挑戦、そして1バーツ5円…2025年を振り返って
記者:
JWC 加地
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2025年12月31日
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2025年もいよいよ終わりに近づいてきました。สวัสดีค่ะ 日本人スタッフの加地 茜(かじ あかね)です。
タイでの性別適合手術(SRS)をご検討中の皆さまにとって、2025年は「嬉しいニュースで背中を押される瞬間」と、「制度・為替の変化で現実的な判断が難しくなる瞬間」が、同時に進んだ一年だったように感じています。
ここでは、今年特に印象に残った4つのトピックを、できるだけコンパクトにまとめてご紹介します。
当センター元ご利用者 Minaさんが「MIQ JAPAN 2025」グランプリ獲得
2025年の明るいニュースとして、まず最初にお伝えしたいのがこの話題です。
当センターの元ご利用者である雨松美菜さん(Minaさん)が、国内大会「Miss International Queen JAPAN 2025」でグランプリを獲得し、日本代表として世界へ挑戦する権利を掴まれました。
SRSは「ゴール」ではなく、その先の人生をどう生きるか、何に挑戦するかを広げる“通過点”でもあります。
挑戦を続ける姿は、同じように悩みながら一歩ずつ進む方々にとって、とても大きな励ましになるはずです。
参照:https://thaisrs.com/2025/04/heisya-kyaku-nihon-daihyou-guranpuri-kakutoku/
「外観要件」をめぐる判断が可視化され、戸籍変更の議論が新章へ
2025年は、日本国内の制度面でも重要な動きが続きました。
戸籍上の性別変更に関して、いわゆる「外観要件(身体の外観に関する要件)」をめぐり、裁判所の判断が報道され、議論がさらに現実味を帯びて進んだ一年でした。
ここで強調したいのは、「制度がどうなるか」と「ご本人が何を望むか」は、必ずしも同じではないという点です。
法制度の動きで選択肢が広がることは重要ですが、SRSを望む理由は人それぞれであり、身体のこと・生活のこと・将来像のことを丁寧に整理しながら、納得できる選択をしていくことが何より大切だと、改めて感じました。
参照:https://www.uhb.jp/news/single.html?id=54013
国内の診療ガイドラインがアップデートされ、“情報の基準”が更新された一年
医療の現場でも、情報の「基準」そのものが更新され続けています。
日本精神神経学会(関連学会)による「性別不合に関する診断と治療のガイドライン(第5版)」は、2025年11月にも一部再補正が反映されており、国内で診療を受ける際の参照枠組みとして確認しておきたい資料の一つです。
海外での手術を選ぶ場合でも、日本国内での術前・術後の相談先(診断書、通院、紹介状、こころのケア等)との連携が必要になる場面があります。
だからこそ、「日本側の医療の前提がどう整理されているか」を押さえておくことは、回り道に見えて実は近道になることがあります。
参照:https://www.jspn.or.jp/uploads/uploads/files/activity/gid_guideline_no6_20251119.pdf
歴史的な円安――「1バーツ5円台」が現実になった一年
そして、2025年の現実として重かったのが、為替です。
タイでの手術・滞在・移動に関わる費用は、どうしてもバーツ建てが中心になります。
2025年は、タイバーツが円に対して上昇し、「1バーツ=5円台」に到達する局面も見られました。
同じ金額(バーツ)でも、円換算の負担が大きく変わるのが為替の怖いところです。
たとえば支払いが「50万バーツ」の場合、1バーツあたり0.5円違うだけで、差は25万円になります。
「費用が心配で動けない」と感じた方も少なくなかった一年ではないでしょうか。
来年も為替は読みづらい状況が続く可能性があります。
計画を立てる際は、余裕をもった資金設計(想定レートの幅を持つ、渡航時期の検討、支払いタイミングの整理など)をおすすめします。
参照:https://www.exchange-rates.org/ja/exchange-rate-history/thb-jpy-2025
さいごに
2025年は、希望が見えるニュースがある一方で、制度と為替という「外から来る変化」にも向き合う必要がある一年でした。
タイSRSガイドセンターでは、2026年も「安心・安全」を最優先に、最新情報をできるだけ分かりやすく整理し、当事者スタッフとして現地で支える体制を磨き続けます。
今年も本当にありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えください。
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こんにちは。SRS(性転換/性別適合手術)、顔の女性化そして声の女性化の経験者であり、岡山県出身の加地 茜(あかね)です。趣味は映画鑑賞、好きな動物はカエルです。 相談できるところが少ないSRSや顔の女性化、声の女性化に関してのご相談、そして様々な情報が溢れている現状で何を信じて良いのかわからないなどの困り事があればお気軽に相談して下さい。 自身の手術経験やアテンド経験から、痒いところに手が届く様なサポートが出来るよう、日々努力しています!







