全腹腔鏡子宮卵巣摘出手術とミニペニス形成の体験リポート ④帰国後から現在まで
記者:
横須賀 武彦
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2017年5月26日
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全腹腔鏡による子宮卵巣摘出手術と陰核陰茎(ミニペニス)形成の体験リポート2016年9月④帰国後から現在まで
・35歳FTM、ホルモン治療歴10年、2007年に国内の美容外科で胸オペ済。
気管支喘息の既往あり。(服薬加療中。)
・手術内容
子宮卵巣摘出手術(腹腔鏡下)、膣閉鎖、尿道延長、ミニペニス形成、睾丸インプラント、左乳頭修正(縮小)、39日間滞在(うち入院期間12日)※35日+4日間滞在延長
・病院、執刀医
ガモン病院(Kamol Cosmetic Hospital)
ガモン・パンシートゥム医師(形成外科)、シリマス・インカナート医師(婦人科)
※当初は開腹手術を予定していたが、術後の痛みや回復にかかる時間を勘案し、前日にアテンダントに連絡し、腹腔鏡下術に変更できるか尋ねる。変更可能との事。
帰国後から現在まで
帰国後~現在
10月末まで仕事を休み、11月から復職した。休み中に体力づくりをしようと思っていたが、気力・体力がなく、また、戸籍変更等の手続きのための通院やら、パートナーとの同居のための準備等で思ったほど時間的余裕がなく特に運動はできなかった。
やはり復職後は疲れがひどく、帰宅後すぐにダイレーションをしながら寝てしまうことが多かった。
円座は11月末頃まで使用していた。術後から股を開いてゴリラのような歩き方をして、3カ月程度はこの歩き方でないと患部に痛みがあった。変な筋肉の使い方をするためか、腰痛になった。
痛みは術後3カ月程度でほとんどなくなると聞いていたが、僕の場合6ヶ月ほどは痛みがあり、その都度痛み止めを飲んでいた。現在、術後8カ月ほど経過したが、未だに時々ピリリと痛むことがあるのと、縫合部分が固く盛り上がっており、触ると痛痒いような感覚があり、ステロイド軟膏を塗っている。
先生に言われた通り6か月間は大体毎日2回はダイレーションを行った。今でも尿道が狭いと感じた時はダイレーションを行うことで状態は改善する。
睾丸マッサージはあまり行っていないためか、もともと何もなかったところに20㏄のシリコンボールを入れたことで、皮膚に余裕がなく外観は睾丸といった様相ではない。元々膣だった部分は閉鎖されているが、両睾丸の窪みに陰毛が挟まり引っ張られて痛いため、時々ヒートカッターで陰毛の処理をしている。
内摘後から更年期の症状か、ホットフラッシュがひどい。冬場でも汗をかくため非常に辛かったが、ホルモン注射を再開し、徐々にペースをつかむことで対応できるようになった(ホルモンが切れるとホットフラッシュが始まる)。プラセンタや漢方薬なども試したが、漢方は若干効果があったものの、ホルモンを入れた方が調子は良い。プラセンタはあまり効果を感じなかった。
SEXは帰国後1ヶ月ほど経ってから。感度が上がったわけではないが、感覚が変わったような気がする。尿道延長をしたせいかも知れない。オペ後のミニペニスの大きさは元々の大きさとほぼ変わらないが、若干上向きになった。しかし元々がクリトリスなので、もちろん挿入はできない。また、勃起はするが、シリコンボールを入れる際に切開・縫合した部分がピリピリと痛む。
立位排尿はしばらく練習したことで可能になったが、ウエストの緩いジャージや、股上深めのズボンを履いていないと難しい。また、オペ前の下着はボクサーパンツやトランクスを履いていたが、オペ後は素材の柔らかいニットトランクスに変えた。(患部が擦れても痛みが少ない)
契約書にも書かれているが、タバコは絶対にやめた方が良い。僕はオペの1年4ヵ月前に辞めることができたが、それでも10年以上吸っていたためか、治りに時間がかかったように思う。今更後悔しても遅いが、早いうちに辞めておけば、もしかしたら皮膚の再生や痛みがもう少し早く良くなったかもしれない。
〇持って行って良かった物
・スポーツドリンク粉末(タイには粉末がないので、ペットボトルを買わないといけない。重いので術後は運ぶのが大変。ポカリなどを好む人は必要)
・水出し緑茶(水だけだと飽きる人は必要)
・ユニクロのステテコ(ゆるい短パンを持っていなかったので。オシャレなものなら普通に外出もできる。洗い替え用に3枚ほどあると良い)
・トイレットペーパー(トイレのシャワーが恐い。あと流せるので衛生的。でもトイレが詰まるので大量に流さないように)
・レトルト食品(色々種類があると良い。ただし荷物が重くなるので注意)
・フリーズドライの粥、インスタント味噌汁、卵スープなど(食欲がない時に。タイにあるフリーズドライの味噌汁はあまりおいしくない)
・ボディペーパー(入浴できない時に)
・常備薬(ロキソニン、胃腸薬など。痛み止めが足りなくなった時などに)
・防水フィルム(乳首修正後のシャワー時に役立った)
・電子辞書(英語が分からない時に使った)
〇必要なかった物
・英会話本(医療職用の本を買ったがほぼ使わず。電子手帳で十分)
・ガイドブック(観光する余裕はなかった)
・大量の書籍(文庫本3冊程度しか読めなかった。単に重いだけの無駄な荷物になるので、本であれば電子書籍がおすすめ)
・洋服・パンツ(行き帰りの服とTシャツ、フェイスタオルが2枚あれば十分。滞在中パンツは履かない)
・日用品、箱ティッシュなど(現地で調達でき、質も悪くない)
・虫よけスプレー(現地で調達できる。部屋に置くタイプも売っている)
〇持って行けば良かったと思った物
・S字フック(ウロバッグを掛けるのに必要だった)
・かぶれないテープ(テープかぶれする人。工作用などのビニールテープでも代用可。日本の医療・介護現場でもかぶれ対策にビニールテープを使うところはある。僕はファミマで買った電気工事用の黒いビニールテープを使っていたが、消毒の度にNs.やナースエイドに笑われた)
その他
・生命保険(入院手術等)の申請書と、会社勤めの人なら協会けんぽの英語版の傷病手当金申請書は持って行った方が良い。後々申請がスムーズにいくのと、経済的負担がかなり違う。僕の場合、生命保険の給付金と傷病手当金で合計50万円ほど保障された(日本の精神科医でSRSのための休職は傷病手当金の対象にならないという医者もいるが、きちんと対象になる。協会けんぽに確認済み。ただしそういった医者から申請書のサインをもらうためには、資料やきちんとした説明ができるだけの知識は必要)。書類を持って行き忘れた場合、後から国際郵便で送らなければならず、郵送費用と横須賀さんやガモン病院の職員に手間を掛けてしまう。
・僕の場合、通常より強く痛みを感じ、外出もままならなかったので、コンドータウンに滞在中はCS放送を楽しんだ。日本の地上波のニュース番組などがリアルタイムで見られるのでとてもありがたかった。しかし、スコールなどで電波が悪い時などには放送が止まってしまうことも…。やはりDSなどのゲームは暇つぶしに必要だった。僕はスマホの他に、文庫本の他にノートPCとお気に入りのDVDも持って行ったので、入院中は良い暇つぶしになった。
・ポケットWi-Fiのレンタルはした方が良い。入院中に痛みがひどい時は起きてPCを触ることも難しいので、スマホでネットをすることが多かったが、病院のWi-Fiは電波が弱く日によっては全く使えない。(空港等で借りるより、ガイドセンターで借りた方が費用は安く済んだ)
・僕は中学卒業程度の英語もままならなかったし、事前に英語の勉強もほとんどできなかったが、入院中や通院時にはプイさんや横須賀さんに通訳の他、色々とサポートをしていただき、特に不便を感じることはなかった。英語で困った時は持ち込んだ電子辞書を使いながら片言の英単語でNs.やナースエイドと話しをした。基本的に病院職員は皆親切だが、お願いしたいことは、はっきりと言わないとやってもらえない。(日本では当たり前のことでも、タイでは当たり前ではないから。郷に入っては郷に従え)
また、コンドータウンには生活に必要な家電や日用品、調理器具、食器類はほぼ揃っていて、滞在期間中はとても快適に過ごせた。当初は食事が心配だったが、持ち込んだレトルト食品と、マックスバリューで買った米で簡単な自炊をしていたせいで、あまり困ることはなかった。また、滞在中の食費もあまり掛からなかった。ただし、滞在延長となった場合はそれなりに費用が掛かるので、ある程度余裕をもってお金は持って行った方が良い。また、途中で足りなくなるかもとか、大金を持ち込むのが心配という場合は、楽天銀行の口座にお金を入れておけば、海外キャッシュカードで下ろすこともできる。(コンドータウンからちょっと歩いたところにあるセブンイレブン前にATMがある)
「⑤最後に」に続きます。
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バンコク在住、(株)ジェイ・ウェッブ・クリエーション代表。1997年にバンコクへ移住し、現地工場長を経て2004年に会社設立。現在はバンコクで医療系の情報提供と起業支援を中心に活動中。日本国内で年に2回ほど個別相談会も開催しています。1952年生まれで茨城県水戸市出身、在タイ20年超